マニアックなロビンフッド

リドリースコット監督が、ラッセル・クロウを主演に迎えてのロビンフッド。
ロビンフッドといえば、ケビンコスナー主演のが思い出される僕ですが、記憶の中にあるロビンフッドは、イギリスに帰ってからの「義賊」であり、乱暴に言うとネズミ小僧(ロビンフッド)が最終的に暴れん坊将軍(リチャード1世)に認められて(助けられて)悪代官をこらしめ、という痛快活劇的な側面が思い出されるわけです。

しかしまあ、このロビンフッドは宣伝文句の「戦場シーン」にしろなんにしろ、だいぶ中世ヨーロッパ史のエッセンスを(日本で公開するには、そしてきっとアメリカで上映するにしても)マニアックに味付けした作品でした。

はたして、これをみた人のどれだけがどこまでが史実をベースにしていて、どこが完全なフィクションで、どこがロビンフッドの伝説なのかを理解していたでしょうか・・・。



この映画の根幹を成す史実(フィリップ2世のフランスとの抗争の中でのリチャードの戦死、マグナカルタの成立)と、その狭間にいる、「ロックスリーのロビン」の伝説。

ロビンフッドの伝説では、「十字軍帰りの義賊」であり、シャーウッドの森(王の直轄地で、鹿は王の財産=捕ると逆賊)から悪政を働く王弟ジョン(リチャード1世の外征中のイギリスを支配)の手先である代官を懲らしめる、というのが通説上のロビン(で、ありケビンコスナーのロビン)でしたが、この映画では第3回十字軍に従軍するイチ兵士。

その合間にさりげなくリチャード1世のアッコンでの虐殺(ってこんなの十字軍の歴史知らないと知りえないよね)のエピソードが出てきたり、リチャードの戦死(戦死したのは確かフランスでですが、十字軍から一度イギリスには戻っているはず。あと母親がコイツにあまかったのはガチかw)、ジョンのマグナカルタの承認(なんかその理由がおかしいけど)、フランスとの戦争(どっちかというとはじめはリチャードとの抗争でしたよな。。。)など、史実の中での時間軸を曲げ、事実を曲げています(フィリップ2世のイギリスとの抗争の中ではフランス本土上のイギリス領の奪い合いであり、ジョンが「失地王」といわれるのはそのフランス本土上のイギリス領を失ったからだったはずだし、確かにイギリス諸侯がジョンに反抗したのがマグナカルタの引き金だったけれど、それは先のフランスとの抗争があったはずだし、、、)

要はそういう「ウラ」を知ってこそのオハナシだし、逆にそれ知らないでみたら、「王様ちゃんばらでしんじゃうし、なんか主人公アウトローというかただのチンピラ軍団のリーダーだし、なのにいつのまにか貴族のふりしてるし、え、実は民主化運動の指導者の息子とかなにそれだし、イギリス率いてフランス破るとかまじ王様むかついて当然ちゃう、というかまたちゃんばら?」なだけ。

悪役フランス(=侵略者)、団結するイギリスを率いる義賊(=ロビン)、愚鈍な王(=ジョン)という三役とも、この背景をきちんとお知らせしないで放り出すのは映画としては失格ですね。

まあ、監督はインタブー見る限り一般的なロビンフッド像と違うものを描きたく、またジョン王の運のなさ(実はリチャードの遠征外征のツケを一身に背負ってる)ということを理解したうえでの映画のようですが、多分それは伝わってないな、と。
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by nariyukkiy | 2010-12-28 23:02 | sunday people


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