「戦前と戦後」菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール

ずっと出す、出すといっていた「菊地成孔のウタモノ」がペペトルメントアスカラールの形で結実した、ということか。

全11曲中10曲が菊地成孔による歌唱。
中にはVoiceとしてSIMILABからOMSB、DyyPRIDEのほかLeija Hanrahan(って、Kipの娘さんだとか)がはいったKipHanrahanの楽曲(Michalangelo、ってTanogo ZeroHourしか出てこなかったんだけど)やBeautiful Scarsに収録されていた「Caravaggio」のカバー、はてはフランクオーシャンの「スーパーリッチキッズ」まで!

1曲目の「退行」からして、南方指向のオルケスタ(※よくわからないで真似しています、いいかた)、ジャズオーケストラであるぺぺの「官能と憂鬱」がたっぷりと入っている。なんとなく「京マチ子の夜」にVocal入れたのかな、という第一印象だったのだけど、それはいきなり甘美な世界に引き込まれる、ということ。
(「南米のエリザベステーラー」も「京マチ子の夜」で完全にその世界にはいったのだから)
WomanもKNQDのライブでも披露していたが、バンドネオンとピアノが絡むアレンジがなんともこの曲の隠微な空気を醸し出していて、これまたいい感じ。

そのままの流れでのKipの楽曲にナレーションやラップ。KipHanrahanの持っていたNYCのアンダーグラウンドな雰囲気から発した無国籍性が、ラップが絡むことで逆に引き立つ、という演出は何とも心憎い。

ぺぺの魅力はやっぱりこのちょっと憂鬱な感じなんだよなあ、という前半。

インストゥメンタルを挟んでの中盤はちょっとポップな感じに盛り上がっていたらFrankOceanのカバー。
これも、原曲の乾いた空気がどことなく湿っぽくなっているアレンジ。

これまでのぺぺはどちらかというと菊地成孔以外の歌唱や、ナレーションがほとんどだったことを考えると一気に菊地成孔Sings、色を強めたわけだけど特にカバー曲のチョイスがラテンジャズアレンジのヒップホップソウル、それも出自がヒップホップじゃない曲へのラップの挿入だったりと「誰かが気づきそうで、誰もやっていない」ところのアイディアとそのアウトプットのクオリティの高さがまた際立ったアルバムに仕上がっていた。

気が付けば10年目?のぺぺなわけだけど、なんだかこれからの動きが楽しみになる、そんな一枚だった。
(っということは、ここでおしまい、というのも十分ありそうだなあ、と思うけど)

戦前と戦後
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by nariyukkiy | 2014-03-28 01:39 | music


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