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罪とか罰とか



ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督(脚本も)
成海璃子 主演

先にはっきり言っておこう。
同じ演劇畑でも、ク□カンとか三□幸喜とかの予定調和的コメディなんてめじゃない。
彼等のコメディはひっくりかえしたちゃぶ台は「ひっくり返されること」がわかっているから周りにビニールシートはって、しかも汚した後は自分で始末せず下働きのADあたりに掃除させているようなもんだ。



それに比べると、KERAのこいつは、すべてがはじめっから壊れている。どれが壊れているか、わからないのに、どこ触っても爆発する。だけど終わったときにはすべての装置は壊れたまま、きっちりと動かしている。予定調和なんてものはどこにも存在しない、シュールで下品で、失笑するし、笑うしかないし、落ちもない。
笑わせて、ほっこり泣かす、とか感動させる、とかそんな胸糞悪いことは一切ない。
もう完全に☆5つだな。

少○メリケンサックとか、ぜーんぜん見に行く気さえしなかったが、これは見に行く価値あるわな。
まあ、つぼにはまらない人から見たら、もしくは感動病の人からしたらお金の無駄かもしれないけれどね。








誰一人まともじゃないから、まともに進むはずはない。売れないアイドルは売れない上に自爆テロを繰り返すし、コンビニ強盗3人組は間抜けなまま強盗を決行する。

アイドルの元カレ(永山絢斗)は殺人鬼だし(成海璃子と永山絢斗の「自首するよ」「私信じてる」のくだりはテンポがよくてすばらしい(笑)「私がんばってるんだけどなあ」の収拾の仕方もぶちきれている。(フツーならフツーにがんばって、フツーに成功するでしょ)だいたいこの「がんばってるんだけどなあ」のあとといったら・・・。

そして、何よりすばらしいのが、すべての伏線、どうでもいいコネタの一つ一つをぶちまけるだけぶちまけといてやっぱしタダのコネタでした、面白いだけの言動でした、というものが存在しないんだよね。きっちり一つ一つを回収して、つなげて、そのどれもがシュール。


KERA監督の、「レンタルビデオ店で自分の映画のDVDを目立つところに置くのが監督としての務め。この映画のDVDが(半年後に)発売されたら、宮藤(官九郎)の『少年メリケンサック』をどけて“オススメコーナー”に置きます」というコメント、俺も手伝います(笑)
by nariyukkiy | 2009-03-08 22:51 | sunday people


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